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研究支援等 分子研リポート2009 | 分子科学研究所

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(1)

ここに記載しているのは,直接研究活動を行わないが,研究を遂行する上で,なくてはならない研究支援業務であり, 主に技術課が担当・支援しているものである。特に法人となってからは,全国の分子科学コミュニティの連帯を強め るために,研究支援部門を強化してきた。法人化後に新設された部門には,「安全衛生管理室」,「 広報室 」,「史料編 纂室」がある。

技術課は,研究支援組織の中核になる大きな集団を構成している。分子科学研究所は,共同利用部門を強力に支援 するために,技術課に所属する技術職員を公募で採用し,また研究室配属の技術職員を研究施設に配置転換し,大型 の研究施設を維持管理する部門や共同利用を直接支援する部門を増強した。平成19年4月に組織編成を見直した。

「2-5 構成員」を参照。

安全衛生管理室は,法人化に伴い,研究所の総括的な安全衛生が,労働安全衛生法という強制力を持つ法律によっ て規制されるようになったため,その法律の意図するところを積極的且つ効率的に推進するために設置された。それ までは,設備・節約・安全委員会という意思決定のための委員会が存在していたが,安全衛生の実際の執行は技術課 が一部を担当したものの,専門に執行する組織はなかった。現在,安全衛生管理室には,専任の助教と事務支援員, 十名弱の兼任の職員を配置し,執行組織として,多くの施策を実行している。安全衛生を維持するのに必要な資格は 全て取得している。

広報室も法人化と共に設置した部門であり,法人化する前は,単に研究活動報告や要覧誌の発行などを行っていた だけであった。法人化以降は国民に,より積極的に研究所で行っている研究内容を分かりやすく紹介することに重点 を置くようになった。そのため,平成21年度には新たに専任の技術職員を1名配置し,非常勤職員1名と合わせて 3名の体制にした。分子研の発行誌も,上述した観点で見直している。分子研及び分子科学コミュニティの情報を早 く且つ分かりやすく伝えるために,ウェブサイトをリアルタイムで更新し,また事業内容を紹介する動画の制作や展 示室を設置し見学者らに公開することとしている。

史料編纂室は法人化後に設置された支援組織としては一番新しい。法人化後まもなく迎えた創立30周年記念行事 の中で分子研設立の経緯を残すことの重要性が認識された。このため,総研大葉山高等研究センターを中心に発足し た「大学共同利用機関の歴史」研究プロジェクトに参加する形で史料編纂室を発足させた。分子研設立の過程と共に, 過去に所員が行ってきた研究,分子科学コミュニティーの形成過程などの歴史をきちんと記録し公開することを目指 している。所はそのために専任の技術職員1名と非常勤職員2名を配置した。

4.研究支援等

(2)

4-1 技術課

技術課は所長に直属した技術職員の組織で,2009年4月1日の構成員は,7班15係の総勢36名である。技術職 員は,主に研究施設に配属され,それぞれの持つ高い専門技術で,研究教育職員と協力し,先端的かつ独創的な研究 を技術面から支え,共同利用研究機関の使命を果たすために努力している。各施設に配属された技術職員の対応する 技術分野は広範囲に渡っている。機械,電気,電子,光学,情報,といった工学知識や各要素技術の技能を基に支援 業務として実験機器の開発,システム開発等を行い,物理・化学・生命科学を基に物質の構造解析や化学分析等を支 援している。この様に技術職員の持っているスキルを活用し,UV S OR やスパコン,レーザーシステム,X線解析装置, 電子顕微鏡,E S R ,S Q U I D ,N M R など大型設備から汎用機器の維持管理,施設の管理・運用も技術職員の役割とし ている。さらに,科学の知識を基に研究所のアウトリーチ活動も職務として担い,広報に関する業務,出版物作成も行っ ている。所内の共通業務としてネットワークの管理・運用,安全衛生管理も技術課の業務として行っている。安全衛 生管理では,研究所の性質から毒劇物,危険物など薬品知識や低温寒剤の知識,放射線管理,その他技術的な側面から, 毎週職場巡視を行い,分子研の安全衛生管理に寄与している。

技術職員が組織化されたのは,1975年に創設された分子科学研究所技術課が日本で最初である。技術職員が組織 化したことで,直接待遇改善につながったが,組織化の効果はそれだけでなく,施設や研究室の狭い枠に留まってい た支援を,広く分子科学分野全体の研究支援を行うことができるようになり,強力な研究支援体制ができあがった。 支援体制の横のつながりを利用し岡崎3機関の岡崎統合事務センターと技術課が協力し最良の研究環境を研究者に提 供することを目標に業務を推進している。しかし,事務組織とは違って,分子研の施設に配属された技術職員は,研 究室に配属された技術職員と比較すると,流動性に乏しいので,組織と個人の活性化を図るために,積極的に次のよ うな事項を推進している。

4-1-1 技術研究会

施設系技術職員が他の大学,研究所の技術職員と技術的交流を行うことにより,技術職員相互の技術向上に繋がる ことを期待し,1975年度,分子研技術課が他の大学,研究所の技術職員を招き,第1回技術研究会を開催した。内容 は日常業務の中で生じたいろいろな技術的問題や失敗,仕事の成果を発表し,互いに意見交換を行うものである。そ の後,毎年分子研でこの研究会を開催してきたが,参加機関が全国的規模に広がり,参加人員も300人を超えるよう になった。そこで,1982年度より同じ大学共同利用機関の高エネルギー物理学研究所(現,高エネルギー加速器研 究機構),名古屋大学プラズマ研究所(現,核融合科学研究所)で持ち回り開催を始めた。その後さらに全国の大学 及び研究機関に所属する技官(技術職員)に呼びかけ新たな技術分野として機器分析技術研究会も発足させた。現在 ではさらに多くの分科会で構成された総合技術研究会が大学で開催され,さらなる発展を遂げつつある。表1に今ま での技術研究会開催場所及び経緯を示す。

(3)

昭和 53

分子科学研究所 昭和 53 年 6 月 2 日 機械,回路

技術研究会について討論会 分科会形式始める 高エネルギー物理学研究所 昭和 53 年 10 月 27 日 機械技術

昭和 54

分子科学研究所 昭和 54 年 7 月 機械,回路,電子計算機 電子計算機関連の分科会を創設

高エネルギー物理学研究所 昭和 54 年 10 月 19 日 機械

分子科学研究所 昭和 55 年 2 月 機械,回路,電子計算機

昭和 55

高エネルギー物理学研究所 昭和 55 年 10 月 24 日 機械

分子科学研究所 昭和 56 年 1 月 30 日 機械,回路,電子計算機,低温

低温分科会を創設 技術課長 内田 章

昭和 56

分子科学研究所 昭和 56 年 7 月 機械,回路,電子計算機,低温 高エネルギー物理学研究所 昭和 56 年 1 月 30 日 機械

昭和 57 高エネルギー物理学研究所 昭和 58 年 3 月 17-18 日 機械,回路,電子計算機,低温

技術部長 馬場 斉

3研究機関持ち回り開催が始まる 昭和 58 分子科学研究所 昭和 59 年 3 月 2-3 日 機械,回路,電子計算機,低温

昭和 59 名古屋大学プラズマ研究所 昭和 59 年 11 月 15-16 日

機械,ガラス , セラミック,低温回路,電 子計算機,装置技術

実行委員長 藤若 節也

昭和 60 高エネルギー物理学研究所 昭和 61 年 3 月 19-20 日

機械,計測制御,低温,電子計算機,装置 技術

技術部長 山口 博司 昭和 61 分子科学研究所 昭和 62 年 3 月 19-20 日 機械,回路,電子計算機,低温

昭和 62 名古屋大学プラズマ研究所 昭和 63 年 3 月 29-30 日 機械,回路,低温,電子計算機,装置技術 昭和 63 高エネルギー物理学研究所 平成元年 3 月 23-24 日

機械,計測制御,低温,電子計算機,装置 技術

技術部長 阿部 實 平成元 分子科学研究所 平成 2 年 3 月 19-20 日 機械,回路,低温,電子計算機,総合技術 2ヶ所で懇談会 平成 2 核融合科学研究所 平成 3 年 3 月 19-20 日

機械,低温,計測制御,電子計算機,装置 技術

平成 3 高エネルギー物理学研究所 平成 4 年 2 月 6-7 日

機械,低温,計測制御,電子計算機,装置 技術

平成 4 分子科学研究所 平成 5 年 3 月 11-12 日 装置 I,装置 II,低温,電子計算機

実行委員長 酒井 楠雄 3研究機関代表者会議 平成 5 核融合科学研究所 平成 6 年 3 月 23-24 日

機械,低温,計測制御,電子計算機,装置 技術

技術部長 村井 勝治 研究所間討論会 平成 6 高エネルギー物理学研究所 平成 7 年 2 月 16-17 日

機械,低温,計測制御,電子計算機,装置 技術

技術部長 三国 晃 研究所間討論会 平成 7 分子科学研究所 平成 8 年 3 月 18-19 日

機械,回路,計測制御,電子計算機,化学 分析

技術課長 酒井楠雄

研究所間懇談会 化学分析を創設

平成 8

国立天文台・電気通信大学共催 平成 8 年 9 月 19-20 日

計測・制御,装置・回路計算機・データ処

初めての分散開催 大阪大学産業科学研究所 平成 8 年 11 月 14-15 日 機器分析

名古屋大学理学部 平成 9 年 2 月 6-7 日 装置開発 A ,B ,ガラス工作 北海道大学理学部 平 9 年 2 月 27-28 日 低温

平成 9

核融合科学研究所 平成 9 年 9 月 11-12 日 機械,回路,低温,電子計算機,装置技術 静岡大学 平成 9 年 11 月 27-28 日 機器分析

工学部,情報学部,電子工学研究所 各技術部の共催

平成 10

名古屋工業大学 平成 10 年 11 月 26-27 日 機器・分析

高エネルギー加速器研究機構 平成 11 年 3 月 4-5 日 工作,低温,回路・制御,装置,計算機 インターネット討論会

平成 11

東北大学 平成 11 年 11 月 11 日 機器・分析 分子科学研究所 平成 12 年 3 月 2-3 日

装置,回路,極低温,電子計算機,ガラス 工作

インターネット技術討論会

平成 12

福井大学 平成 12 年 9 月 28-29 日 機器・分析 東北大学 平成 13 年 3 月 1-2 日

工作,装置,回路,極低温,情報・ネット ワーク,材料・物性開発,地球物理観測

平成 13

大阪大学 平成 13 年 11 月 15-16 日 機器・分析 核融合科学研究所 平成 14 年 3 月 14-15 日

工作,装置,計測制御,低温,計算機デー タ処理

技術部長 大竹 勲

平成 14 東京大学 平成 15 年 3 月 6-7 日

工作,装置,回路,極低温,情報・ネット ワーク,生物科学,機器・分析,地球物理 観測,文化財保存,教育実験・実習

平成 15

三重大学 平成 15 年 11 月 20-21 日 機器・分析

高エネルギー加速器研究機構 平成 16 年 2 月 26-27 日 工作,低温,回路・制御,装置,計算機 技術部長 三国 晃

(4)

平成 16

佐賀大学 平成 16 年 9 月 16-17 日 機器分析を主とし全分野

大阪大学 平成 17 年 3 月 3-4 日

工作,装置,回路・計測制御,低温,情報 ネットワーク,生物科学,教育実験演習 実習

平成 17

岩手大学 平成 17 年 9 月 15-16 日 機器・分析 分子科学研究所 平成 18 年 3 月 2-3 日

機 械・ ガ ラ ス 工 作, 回 路, 低 温, 計 算 機, 装置

技術課長 加藤 清則

平成 18

広島大学 平成 18 年 9 月 14-15 日 安全衛生,計測制御,機器・分析など全分野

名古屋大学 平成 19 年 3 月 1-2 日

機械・ガラス工作,装置技術,回路・計測・ 制御,低温,情報ネットワーク,生物,分 析・環境,実験・実習

平成 19

富山大学 平成 19 年 8 月 23-24 日 機器・分析 核融合科学研究所 平成 20 年 3 月 10-11 日

工作低温,装置,計測制御,計算機デー タ処理

技術部長 山内健治

平成 20

愛媛大学 平成 20 年 9 月 25-26 日 機器・分析

京都大学 平成 21 年 3 月 9-10 日

機械・ガラス工作,装置,回路・計測・制 御,低温,情報ネットワーク,生態・農林 水産,医学・実験動物,分析・物性,実験・ 実習・地域貢献,建築・土木,環境・安全

平成 21

琉球大学 平成 22 年 3 月 4-5 日 機器分析,実験・実習,地域貢献,安全衛生 高エネルギー加速器研究機構 平成 22 年 3 月 18-19 日

機械,低温,計測・制御・回路,装置,情 報・ネットワーク

4-1-2 技術研修

1995年度より,施設に配属されている技術職員を対象として,他研究所・大学の技術職員を一定期間,分子研の 付属施設に受け入れ技術研修を行っている。分子研のような大学共同利用機関では,研究者同士の交流が日常的に行 われているが,技術者同士の交流はほとんどなかった。他機関の技術職員と交流が行われれば,組織の活性化,技術 の向上が図れるであろうという目的で始めた。この研修は派遣側,受け入れ側ともに好評だった。そこで,一歩進めて, 他研究機関に働きかけ,受け入れ研修体制を作っていただいた。そうした働きかけの結果,1996年度より国立天文 台が実施し,1997年度には高エネルギー加速器研究機構,1998年度からは核融合科学研究所が受け入れを開始し 現在も続いている。法人化後は,受け入れ側の負担や新しい技術の獲得には大きく寄与していないため,実施件数は 少なくなってきた。そこで,2007年度からセミナー形式で外部より講師を招き,併せて他機関の技術職員も交えて「技 術課セミナー」を行っている。この「技術課セミナー」は今後,様々な技術分野のトピックを中心に定期的に開催す る予定である。2009年度は化学系設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会を技術研修の一環として 開催した。また,従来の受け入れ研修も小規模ながら続けている。

表2,3に分子研での受け入れ状況を示す。

表2 過去の技術研修受入状況

年 度 受 入 人 数(延)

(5)

平成 16 年度 8

平成 17 年度 6

平成 18 年度 6

平成 19 年度 6

平成 20 年度 25

表3 技術研修受入状況(2009.4.1 〜 2010.3.31)

氏  名 所  属 受入期間 備  考

立花 健二 名古屋大学 21.7.6-7.10 製作コストを意識した機械工作技術研修 河合 利秀 名古屋大学 21.9.9 極低温研修

松岡  博 名古屋大学. 21.9.9-9.11 極低温研修 伊藤 有男 名古屋大学 21.9.9-9.11 極低温研修 福田 高宏 名古屋大学 21.9.9-9.11 極低温研修 松下 幸司 名古屋大学 21.9.9-9.11 極低温研修 立花 健二 名古屋大学 21.9.9-9.11 極低温研修

藤田 和之 北海道大学 21.11.9-11.20 コスト意識を取り入れた工作技術の習得とワイヤー放電加工技術研修 渡辺 千香 東北大学 22.1.20-1.22 高速 C MOS デバイスの多重同時計測回路への応用

福田 高宏 名古屋大学 22.2.16-2.19 電子ビーム溶接機の取り扱い実習及び異種金属接合の実施 加茂 由貴 東京大学 22.3.24-3.26 W eb を使ったデータアクセス技術研修

徳田  奨 北見工業大学 22.3.8-3.10 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 山岸 太平 北海道大学 22.3.8-3.10 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 土肥 優紀 東北大学 22.3.8-3.10 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 伊東 益雄 東北大学 22.3.8-3.10 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 塙  浩之 茨城大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 長谷川和寿 宇都宮大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 徳永  誠 埼玉大学. 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 中薗 広行 筑波大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 長崎 光美 東京医科歯科大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 平本由紀子 千葉大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 吉田 清香 千葉大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 石原 晋次 横浜国立大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 魯  大凌 東京工業大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 山本 千綾 山梨大学 22.3.9-3.10 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 梶原智恵子 東京工業大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 尾山 公一 名古屋大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 亀谷 清和 信州大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 瀧  雅人 名古屋工業大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 細坂佐保里 静岡大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 森田 俊夫 福井大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 藤橋 明子 京都大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 山本 哲生 大阪大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 田中 高紀 大阪大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 松崎  剛 大阪大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 藤高  仁 広島大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 小林 元成 岡山大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 谷口 俊彦 鳥取大学 22.3.9-3.10 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 外崎  剛 山口大学 22.3.8-3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会 藤永 悦子 徳島大学 22.3.9 化学系研究設備有効活用ネットワークの予約システム実務者説明会

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4-1-3 人事

技術職員人事は法人化されてからは,広く人材を確保するために,国立大学法人等採用試験や公募採用も取り入れ, 即戦力,より高度な専門技術を要求した人材の採用を行ってきた。これら職員人事の経緯を表4に示す。また,職員 採用については技術職員の年齢構成も考慮している。現在の職員の年齢構成は以下の様になっており,やや団塊とな る世代が中堅職員層に見られ,ライン制の組織構造で起こる人材登用問題も深刻になりつつある。これらを踏まえ人 事についての議論は教員を交え,なるべく多くの時間を費やすようにしている。技術職員は教員と違って人事の流動 性はほとんどないため,長期間,同一職場に勤務すると,職務に対する意識が慢性化し活力が低下しがちである。従っ て人事の流動は,組織と個人の活性化に重要な施策として不可欠である。その対策として法人化前は一定の期間,所 属を移して勤務する人事交流を行ってきた。しかし,法人化後は,交流先の機関での人材確保や技術分野の一致が見 られず,実施されていない状況である。現在,全国の技術職員のネットワークを通じて,新たな人事交流の可能性を 模索している。

人事交流実績

名古屋大学理学部(技術分野:装置開発技術)

北陸先端科学技術大学院大学(技術分野:放射光技術,装置開発技術)

表4 法人化後の技術課人事

年月日 事項 配属班 備考(前職あるいは転出先)

2004 年 4 月 1 日 採用 機器開発技術班 名古屋大学

2004 年 4 月 1 日 採用 光計測技術班 東北大学

2004 年 10 月 16 日 採用(公募選考) 研究・広報技術班 基礎生物学研究所 2005 年 4 月 1 日 採用(公募選考) ナノサイエンス技術班

2005 年 4 月 1 日 採用(公募選考) ナノサイエンス技術班

2005 年 12 月 転出 研究・広報技術班 極端紫外光科学研究系助手 2006 年 2 月 1 日 採用(公募選考) 計算科学技術班

2007 年 1 月 1 日 採用 計算科学技術班 沼津高専 2007 年 3 月 15 日 転出 研究・広報技術班 静岡市役所 2007 年 12 月 31 日 転出 学術支援班 日本電子データム 2008 年 4 月 1 日 採用(公募選考) 機器利用技術班

2008 年 4 月 1 日 採用 計算科学技術班 2009 年 2 月 1 日 採用 機器開発技術班 2009 年 10 月 1 日 採用(公募選考) 光技術班 2009 年 11 月 1 日 採用(公募選考) 学術支援班

(7)

4-1-4 受賞

早坂啓一(1995 年定年退官). 日本化学会化学研究技術有功賞(1986)

. 低温工学協会功労賞(1991)

酒井楠雄(2004 年定年退官). 日本化学会化学技術有功賞(1995) 加藤清則. 日本化学会化学技術有功賞(1997) 西本史雄(2002 年辞職). 日本化学会化学技術有功賞(1999) 山中孝弥. 日本化学会化学技術有功賞(2004)

石村和也. WATOC2005 Best Poster Diamond Certificate(2005) 堀米利夫. 日本化学会化学技術有功賞(2005)

鈴井光一. 日本化学会化学技術有功賞(2007) 吉田久史. 日本化学会化学技術有功賞(2008) 水谷文保. 日本化学会化学技術有功賞(2009)

(8)

4-2 安全衛生管理室

安全衛生管理室は,研究所における快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて,職場における職員の安全と 健康を確保するための専門業務を行うことを目的として,平成16年4月に設置された。安全衛生管理室には,室長, 専任及び併任の安全衛生管理者,安全衛生管理担当者,化学物質・放射線・高圧ガス・.電気・レーザーなどのそれぞ れの分野を担当する作業主任者が置かれている。安全衛生管理者は,少なくとも毎週1回.明大寺・山手両地区を巡視 し,設備,作業方法又は衛生状態に危険及び有害のおそれがあるときは,直ちに,職員の健康障害を防止するための 必要な措置を講じている。また,職場の安全衛生を推進するために必要な,作業環境測定(必要に応じ外部に委託)や, 保護具,各種の計測機器,文献・資料,各種情報の集中管理を行い,分子研における安全衛生管理の中心としての活 動を行っている。

また安全衛生管理室では,分子科学研究所全職員に対する安全衛生教育も行っており,そのための資料作成,各種 資格取得の促進,専門家の養成などを行っている。雇い入れ時の安全衛生教育は年度初旬に定例として行なう他,講 習テキストと講習会 D V D を用意し,年度途中の採用者に対しても,随時雇い入れ教育が可能となるよう配慮している。 また長期滞在する外国人研究者のため,英文の安全衛生講習会テキストの作成,講習会 D V D の英訳字幕の挿入等の 作業なども進め,外国人研究者への配慮も行っている。外国人に対しては,すでにこの教材を用いた安全衛生教育を 進めている。雇い入れ教育用の D V D 教材,特に英語版教材については,改善の余地も残されており,今後も改訂作 業を継続していく。

安全衛生に必要な情報は,管理室の W E B ページ(http://i nfo.i ms.ac.j p/safety /)にまとめており,必要な規則や書式 に即座にアクセス可能である。また,管理室員全員のメールアドレスが入っているメーリングリスト(saf ety @ i ms. ac . j p)も設定してあり,各種の質問などに機動的に対応できる体制になっている。1年に数回,分子研安全衛生委員 会(岡崎3機関の「安全衛生小委員会」に相当)と合同で連絡会議を開催し,所内の安全衛生状況に関する情報交換, 連絡の徹底等が円滑に行なわれる体制を採っている。

(9)

4-3 広報室

「アカウンタビリティ」という言葉が喧伝される昨今,老若男女を問わず広く一般の方々に分子研の研究活動や役 割を分かり易く伝えることの重要性が益々増加している。このような広報活動を進める組織として,分子研には広報 室が設置されている。本年度当初のメンバー構成は,広報室長ならびに副室長として研究教育職員2名,技術職員1名, 技術支援員1名であったが,広報活動の一層の充実を図るため11月より新規採用の技術職員1名が加わった。

広報室では,この数年来,広報活動のより一層の充実を目指して,様々な改革を進めている。ここでは,以下の各 項目に関して簡単に報告する。

(1) ホームページの全面改訂 (2) 日本科学未来館との連携 (3) 展示室の新設

(4) 紹介ビデオの作成

4-3-1 ホームページの全面改訂

平成21年4月に分子研ホームページ(http://www.ims.ac.jp/indexj.html)の全面的な改訂を行った。この改訂につい ては,所内の若手研究者を中心とした「ホームページ改訂ワーキンググループ」において議論を重ね,分子研の最重 要な3つの機能,つまり,①分子科学研究の C O Eとしてのアクティビティー,②共同利用研としての意義と具体的 な利用の仕方,③総研大を含む教育面での貢献,を明確にアピールすることをコンセプトとして進められた。トップ ページに3つの大きなボタン「知る」「使う」「学ぶ」を配置したことは,このコンセプトを端的に示したものである。 これら3つのボタンをクリックすると,①〜③に関して系統的に説明するページへと進むことができる。例えば,「使 う」のページでは,「施設を利用したい方へ」「共同研究を行いたい方へ」「研究会を主催したい方へ」の大きなボタ ンがあり,共同利用を検討されている方々に,分子研で何ができるのか(もしくはできそうか)が一目でわかるよう になっている。一方,「学ぶ」のページでは,現役総研大生および卒業生の声が本人たちの写真付きで紹介されており, 分子研における教育活動がヴィヴィッドに理解できる内容となっている。また,親しみ易いホームページとなるよう にヴィジュアル面も重視し,トップページには「最新情報」「各種研究会案内」「学術トピックス」などのバナーを良 く吟味して配置し,また,分子研紹介ビデオのストリーミングも行える。

4-3-2 日本科学未来館との連携

東京お台場にある日本科学未来館は,最先端の科学技術に関する情報の発信と人の交流のための拠点として,館内 での展示やイベント,セミナーに力を注ぐばかりでなく,研究者・技術者,メディア,行政,学校,産業界などとのネッ トワークを築くことにも務めており,先端科学技術と一般市民とをつないでいくことを目指している。平成20年11 月には,館長の毛利衛氏が未来館職員3名の方々とともに岡崎を訪問され,3研究所を見学されるとともに,研究所 長との懇談,ならびに広報担当者との意見交換を行なわれた。これを契機として,日本科学未来館と岡崎3研究機関 とにおいて,学術研究交流の推進と一般を対象にした科学コミュニケーション活動の推進に資する活動を図ることを 目的として,相互協力に関する協定を締結した。この協定締結を記念するキックオフイベントが,平成21年11月 26日に未来館において開催された。講演,クロストーク,展示体験コーナーといった様々なかたちで,分子研を含 む岡崎3研究所の研究者ならびに職員が来場者と交流を持った。また,10月の分子研一般公開の直前には,未来館 から2名の科学コミュニケーターを講師として迎えて「魅力的に科学を伝えるための A B C 」と題したセミナーを実施

(10)

し,研究者が一般向けにイベントを行う際の留意点やいかに魅力的に説明するかのノウハウ,また,研究アウトリー チの意義について講演を行った。今後も,このような未来館との合同の企画やイベントを積極的に活用し,一般社会 への広報・アウトリーチ活動の更なる展開を目指すべきと考えられる。

4-3-3 展示室の新設

見学のために研究所を来訪される方々は年間100名以上にのぼる。このような研究所見学に際して,分子研におけ る研究活動を分かり易く伝え,さらに,分子科学への理解を深めて頂くことを目的として,研究棟1階に常設の展示 室を新設することとした。写真や動画を多用したグラフィックパネルや研究施設の模型,サンプルの実物展示,分子 科学の基礎を体験できるモデル展示などをコンパクトに配置し,分子科学の意義から最先端の研究までを楽しみなが ら理解できるように企画・設計を行った。当展示室は,平成22年度当初よりの運用を予定している。

4-3-4 紹介ビデオの作成

所外の見学者が研究所を訪問される際などにお見せする目的で,平成20年度に研究所の紹介ビデオの作成を行なっ た。本年度は,さらに内容を充実させるために大幅な改訂作業を行った。分子研の4研究領域(理論・計算分子科学, 光分子科学,物質分子科学,生命・錯体分子科学)における研究紹介に加えて,研究施設,共同利用研究,総研大に おける教育,の各項目に対しても紹介する内容となるよう企画した。

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4-4 史料編纂室

4-4-1 はじめに

平成18年1月,分子研・史料編纂室が設けられ,分子研創設に至る十数年にわたる長い歴史を物語る多数の資料(史 料 ) が 失 わ れ な い よ う, 関 連 史 料 を で き る だ け 収 集・ 保 存 す る た め, ア ー カ イ ブ ズ 活 動 を 進 め て い る( 南 実 験 棟 102・109号室)。なお,現在のメンバーは,木村克美,鈴木さとみ,南野.智,薬師久弥(室長)。

昨年までに収集した史料を大別すると,次の三つに分類できる。 1).日本学術会議の勧告以前の史料(約4年間)

2).日本学術会議勧告から分子研準備室時代までの史料(約9年間) 3).分子研準備室時代から創設十周年記念までの史料(約11年間)

長倉三郎先生(第二代所長)から提供された史料は主に分類 1 と 2(準備室以前)であり,井口洋夫先生(第三代 所長)から提供された史料は主に分類 3(準備室以降)である。

総研大のアーカイブズプロジェクトの一環として,当史料編纂室も他の基盤共同利用機関アーカイブズ室と情報交 換をしながら,アーカイブズ活動を進めている。他機関とのこれまでの交流は,分子研アーカイブズ活動にとって大 変に役立っている。

4-4-2 史料目録作成と史料保存

史料目録の作成は主にソフトファイルメーカー P ro を使って行なっている。また,史料データ共有化のために国文 学資料館 E A D 化も試みている。史料は文書保存箱に整理して保存している。長期保存のため,最近は中性紙の保存 箱も利用している。各史料は,通常の複写(紙コピー),デジタル化(P D F ),さらに一部は長期保存のためのマイク ロフィルム化も進めている。

4-4-3 最近寄贈された史料

1.. 寄贈[分子集団動力学研究部門,平 21.2.24,平 21.2.27,平 21.6.1]

. ( a). 丸山有成教授退官記念資料および記念文集「物性研,お茶大,そして分子研の日々」,( b). S pec i al. R esearc h. R eport(井口洋夫代表)「Molecular.A ssemblies」,(c).井口洋夫グループ論文集「Organic.S emiconductor」No.12,14,15. 2.. 寄贈[井口洋夫,平成 21.3.27]

. (a).日英科学協力事業「分子科学」事業報告書(以下の数値は年度)昭 56 〜 61(192 頁),昭 62(48 頁),昭 63(56 頁),平 1(53 頁),平 3(81 頁),平 4(71 頁),平 7(78 頁),平 8(59 頁),(b).日英協力事業に関する年表「J A PA N/ UK . C ooperation. R esearch. on. Molecular. S cience」,(c).「分子科学研究所創設披露記念」冊子(35 頁,1979),(d). 科学 雑誌「科学」43 巻(1973 年 4 月号),(e). 冊子「分子科学研究所の設立」(設立推進委員会:赤松秀雄・長倉三郎・ 井口洋夫,2 頁,昭和 48),(f).新聞記事(分子研関連の記事 8 件).

3.. 寄贈[北川禎三,平 21.5.21]

. 平 14 〜 18 年度特別推進研究「化学研究費補助金」研究成果報告書. 4.. 寄贈[吉原經太郎,平 21.7.23,21.8.21]

. ( a). 教 授 会 議 議 事 要 旨( 第 29,33,35,36,37,38,41,42,43,45,46),( b). 分 子 科 学 研 究 所 創 設 協 力 者 会 議 議 事 要 旨( 第 7,8,9,10,11),(c).S wedish-J apanese.S ymposium.on.Molecular.S cience,(d).分子科学研究所大型研究設備検討会(記録), (e). 太陽エネルギーの化学的変換・貯蔵の国際研究協力に関する会議,(f). 科学研究費補助金(国際学術研究)交付

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申請書,(g).Progress.R eport.for.Project.under.文部省 -S E R C .A ide-Memoir,(h).文部省− S E R C 覚書に基づく日英学術 交流の概要,(i).T he.30th.Okazaki.C onference."E lectron.D ynamics.in.C hemical.Processes".プログラム,(j).日英科学協力 事業「光光合成による太陽エネルギーの転換」日米情報交換セミナー,(k).文部省と英国科学工学研究会議(S E R C ) との間の覚書について,( l ). 日米セミナー「光化学変換における光化学の新しい展開」,( m). Program. of. the. V i si t. of. the. J apanese. D elegation. in. Prague,(n). J oint. C zech-J apanese. S eminar. on. C ooperation,(o). 海外学術調査「光と物質の相 互作用の分子科学研究の動向調査」(英国),(p).日米セミナー「Photo-electrochemical.E nergy.C onversion」(サンディ エゴ),(q).日米科学技術協力事業「光合成による太陽エネルギーの転換」,(r).昭和 57 年度科学研究費海外学術調査, (s).日米科学技術協力事業,(t).「光合成による太陽エネルギーの転換」分野における日米情報交換セミナー.

4-4-4 総研大アーカイブズ関連研究会への参加

(氏名は分子研からの参加者)

(a). 総研大プロジェクト全体会[21.1.8,生理研セミナー室,岡崎市]木村・鈴木. (b). 総研大プロジェクト全体会[21.1.13,NINS 会議室,東京]木村・鈴木. (c).「文書管理とアーカイブズ」研究会[21.1.22-23,K E K ].木村・鈴木. (d). 総研プロジェクト全体会[21.2.5-6,NINS 会議室,東京]木村・鈴木.

(e). 総研大プロジェクト打合せ[21.2.19,国立民族学博物館,吹田市]木村・鈴木. (f). 研究会「研究記録アーカイブズ」[21.2.21,国文学研究資料館,立川市]木村・鈴木. (g). 総研大プロジェクト研究会「E A D 化について」[21.6.4,K E K会議室,東京]木村. (h). アーカイブレコーディングセミナー[21.7.9,富士フイルム本社,東京]木村. (i).総研大プロジェクト見学会[21.8.26,国立歴史民俗博物館,佐倉市].木村・鈴木. (j).総研大プロジェクト打合せ[21.9.18,NINS 会議室,東京]木村.

(k). 研究講演会「公文書管理」[21.10.9,中央大学駿河台記念館,東京]鈴木. (l).総研大プロジェクト研究会[21.10.23,京大稲盛財団記念館,京都]木村. (m).総研大プロジェクト打合せ[21.12.03,NINS 会議室,東京]木村. (n). 総研大プロジェクト打合せ[21.12.21,K E K 会議室,東京]木村.

(o).「公文書利用規程に関する研究会」[21.12.24,京大総合博物館]木村・鈴木. (p). 公開研究集会「アーカイブズ編成の理論と実践」[22.1.9,国文研,立川市]木村. (q). 総研大プロジェクト打合せ[22.1.29,NINS 会議室,東京]木村.

(r).「分子研創設の歴史」[21.03.28,日本化学会春季年会,東大阪市]木村.

4-4-5 史料編纂室ホームページの作成

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準装備されているページ内の検索機能(IE の場合「ctrl + F 」)を使用することによって,必要な史料を見つけ出すこと ができる。さらに,このリストの I D . N umber と史料の電子化ファイル(P D F 形式)がリンクで結ばれるように,I D . Number のリンクをクリックすることによって,史料の PD F ファイルを閲覧できる機能を実現した。

4-4-6 今後の方針

史料編纂室アーカイブズ活動は今後とも他機関のアーカイブズ室と連携を保ちながら,史料の収集・保存・共有化 の作業も進めていきたい。

史料編纂室のオリジナルの史料は厳重に保存しなければならないので,紙コピーの作成および P D F ファイルの作 成の作業を順次進めている。現在,史料の閲覧および複写は所内関係者には原則として公開されているが,その際に は閲覧簿に必要事項(所属・名前など)を記載していただいている。なお,一般の希望者にも史料の公開を検討して いる。

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4-5 社会との交流

4-5-1 自然科学研究機構シンポジウム

自然科学研究機構シンポジウムは,著名なジャーナリストであり本機構の経営協議会委員でもある立花隆氏によっ て提案・コーディネイトされ,下記のようにこれまでに計8回開催されている。

第1回:「見えてきた! 宇宙の謎。生命の謎。脳の謎。科学者が語る科学最前線」,サンケイプラザ(東京都千代 田区),2006年3月21日。

第2回:「爆発する光科学の世界—量子から生命体まで—」,東京国際フォーラム(東京都千代田区),2006年 9月24日。

第3回:「宇宙の核融合・地上の核融合」,東京国際フォーラム,2007年3月21日。

第4回:「生命の生存戦略 われわれ地球生命ファミリーは.いかにして.ここに.かくあるのか」,東京国際フォーラム, 2007年9月23日。

第5回:「解き明かされる脳の不思議」,東京国際フォーラム,2008年3月20日。 第6回:「宇宙究極の謎」,東京国際フォーラム,2008年9月23日。

第7回:「科学的発見とは何か 「泥沼」から突然「見晴らし台へ」」,東京国際フォーラム,2009年3月20日。 第8回:「脳が諸学を生み,諸学が脳を統合する」,学術総合センター一橋記念講堂,2009年9月23日。

本シンポジウムは,自然科学研究機構が国内最高水準の学術的アクティビティーを有しながら一般にはほとんど知 られていないという現状を残念がられた立花氏が,コーディネーターとして自ら進んで計画されたものである。氏は, 東京大学教養学部で担当されているゼミナールの受講生とともに事前に講演者に取材を行い,最先端の研究内容をい かに面白く,かつ,分かり易く伝えるかについて,貴重なご助言をされてきている。

本シンポジウムに対して,分子科学研究所は以下のような様々な企画で積極的に関与してきている。まず,第1回 において,「21世紀はイメージング・サイエンスの時代」と銘打ったパネルディスカッション中で,岡本裕巳教授が

「ナノの世界まで光で見えてしまう近接場光学」というタイトルで講演を行った。第2回目は,講演会全体の企画を 分子学研究所が中心となって行なった。全講演のうちの半数を分子研のスタッフ(松本吉泰教授,平等拓範准教授, 加藤政博教授,大森賢治教授,江東林准教授)が担当し,中村宏樹所長が閉会の挨拶で締めくくった(詳細は分子研 リポート2006を参照)。なお,本講演会の収録集が,2007年度10月に(株)クバプロより出版された。さらに第7 回では,加藤晃一教授が自らの体験に基づいて「研究の醍醐味とは何か」を伝える講演を行った。

また,本シンポジウムでは,講演会の開催と併せて,展示コーナーを設けてビデオやパネルを用いた説明を行なっ てきている。短い休憩時間をぬって展示スペースを訪れ熱心に質問をされる参加者の方々も多く,「研究の面白さ」 を伝える試みが一定の成果を挙げていることが実感される。特に,第6回以降は,新規に作成した分子研の紹介ビデ オを放映している効果もあり,以前にも増して多数の方々より様々な質問を頂くようになった。

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シカゴ大学教授の岡. 武史先生,第2回は同年10月に生理学研究所名誉教授の江橋節郎先生に講演をお願いし,現在 までに82回開催されている。

その後『分子科学フォーラム』は,分子科学の内容を他の分野の方々や一般市民に紹介し,また,分子研内の研究 者がより広範な科学の内容に触れる場を提供してきたが,2008年度より一般市民の方々に科学の面白さ・楽しさを 広める「市民一般公開講座」として新たに位置づけた。2009年度は広報・アウトリーチ活動の重要性が益々増大し ている現状に鑑み,一元的で効率的な活動の展開を目指して,広報室を中心とした実施体制の整備を進めた。また講 演回数をこれまでの年6回から年4回に変更し,密度の高い講座を開講することで,より魅力的な『分子科学フォー ラム』の実現を図った。

回 開催日 テーマ 講演者

79 2009.. 1.21 たんぱく質のかたちができる仕組みを探る

桑島 邦博

 (岡崎統合バイオサイエンスセンター教授) 80 2009.. 3.11 星はすばる,銀河も統(すば)る

児玉 忠恭

 (国立天文台光赤外研究部准教授) 81 2009.. 5.13

水と緑の国,日本

〜地球環境と日本の農・林・漁業〜

富山 和子

 (日本福祉大学教授) 82 2009.. 7.. 8

女性の美を極める:

分子からデザインする化粧品

東久保和雄

 (資生堂リサーチセンター) 83 2010.. 2.17

低炭素社会に機能性炭素が役に立つ: 次世代電池開発とナノサイエンス

西  信之

 (分子科学研究所教授) 84 2010.. 3.16 プラズマと核融合

伊藤 公孝

 (核融合科学研究所教授)

4-5-3 岡崎市民大学講座

岡崎市教育委員会が,生涯学習の一環として岡崎市民(定員 1,500 人)を対象として開講するもので,岡崎3機関 の研究所が持ち回りで担当している。

分子科学研究所が担当して行ったものは以下のとおりである。

開催年度 講 師 テーマ

1975 年度 赤松 秀雄 化学と文明 1976 年度 井口 洋夫 分子の科学

1980 年度 廣田 榮治 分子・その形とふるまい 1981 年度 諸熊 奎治 くらしの中のコンピュータ 1982 年度 長倉 三郎 分子の世界

1983 年度 岩村  秀 物の性質は何できまるか 1987 年度 齋藤 一夫 生活を変える新材料 1988 年度 井口 洋夫 分子の世界

1991 年度 吉原經太郎 光とくらし 1994 年度 伊藤 光男 分子の動き 1997 年度 齋藤 修二 分子で宇宙を見る

2000 年度 茅  幸二 原子・分子から生命体までの科学

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2003 年度 北川 禎三 からだで活躍する金属イオン

2006 年度 中村 宏樹 分子の科学,独創性,そして東洋哲学 2009 年度 平田 文男 生命活動における『水』の働き

4-5-4 その他

(1) 安城市民公開講座等

安城市教育委員会が,生涯学習の一環として安城市民(公開講座は,一般市民約100名,シルバーカレッジ(2年 間)は,熟年者約50名)を対象として開講しているもので,岡崎3機関の研究所が協力して,講師を派遣している。

分子科学研究所が担当して行ったものは,以下のとおりである。 安城市民公開講座

開催日 テーマ等 講 師

2002..8.10 ナノテクノロジーの話 夛田 博一 助教授

2003..7.19 レーザー入門〜光の基礎からレーザー研究の最前線まで〜 平等 拓範 助教授

安城市シルバーカレッジ

開催日 テーマ等 講 師

2002..6..6 鏡に写った分子の話 魚住 泰広 教 授

2003..6..5 分子の振動を観測して蛋白質のメカニズムを明らかにする 北川 禎三 教 授 2004..7..6 原子のさざ波と不思議な量子の世界 大森 賢治 教 授

2005..9..9 動物の進化 宇理須恆雄 教 授

(2) 岡崎商工会議所(岡崎ものづくり推進協議会)との連携

岡崎商工会議所は産学官連携活動を通じて地元製造業の活性化と競争力向上を目的に「岡崎ものづくり推進協議会」 を設立し,多くの事業を行っている。この協議会と自然科学研究機構岡崎3研究所との連携事業の一環で,会員であ る市内の中小企業との交流会を,平成19年度から行っている。これらは主に技術課の機器開発班と電子機器・ガラ ス機器開発班が中心となって対応している。交流会では,市内の中小企業から10社ほど来所し,各社の持っている 得意分野の技術紹介を受けた後,分子科学の分野で必要なものづくり技術や,技術開発の取り組みについて説明し, 意見交換を行った。平成21年度は交流会の開催は行わなかったが,この交流会を機にスタートした協力体制は継続 して進んでいる。

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4-6 理科教育への協力

4-6-1 スーパーサイエンスハイスクール

岡崎高校は平成19年度より始まる S S H 継続事業に応募し,この提案が文部科学省より採択された。分子科学研究 所も引き続きこの事業を支援することに合意した。今年度は以下の3課題の活動に協力した。

(1). スーパーサイエンス部活動(化学班)の支援

・「光合成のモデル化実験」(指導者:永田 央准教授)。

. 10月26日に分子研研究室で生徒の研究成果について検討した。この後,11月3日に生徒たちは,日本化学会 東海支部の第18回高等学校化学研究発表交流会に参加出品した。この交流会での発表は毎年恒例になってきた。

・「色素増感太陽電池の研究」(指導者:見附孝一郎准教授)。

. 今年度は研究生徒が1名のみになってしまい,成果発表などは行われなかった。 (2). 科学三昧 in あいち2009

12月24日に岡崎コンファレンスセンターで開催された。詳細は 4-6-4 を参照されたい。

4-6-2 コスモサイエンスコース

分子科学研究所では,平成20年度に愛知県立岡崎北高等学校が国際的に活躍できる科学技術者の育成を目的に新 たに設置した,コスモサイエンスコースへの協力を,岡崎市にある基礎生物学研究所,生理学研究所とともに開始した。 . 「コスモサイエンス・ゼミ」に講師を派遣

開催場所:岡崎北高校 分子研講演者:平本昌宏教授

タイトル:「エネルギー問題の解決は科学者の使命—太陽電池のはなし」 平成 21 年 6 月 13 日(土)

4-6-3 サイエンスパートナーシッププロジェクト

岡崎西高校は,昨年度に続いて今年度も,分子科学研究所宇理須グループと連携したサイエンス・パートナーシップ・ プロジェクト(以下 S P P と略す)に応募して採択された。昨年の内容を発展させた「神経細胞ネットワークの形成と 観察」というテーマで,7月11,15,18日の3日間3年生の理系で希望する生徒約20名と実験等を行なった。

昨年度の講座では,細胞培養の基礎技術の理解,神経細胞の分化とは何かの理解,細胞の蛍光染色による観察を通 して細胞外基質の有用性を考えることを目的とした。今年度は,昨年参加していない新たな生徒を対象としているが, 昨年度の内容をさらに発展させて,神経細胞のネットワークを,計画したパターンで細胞外基質上に形成させていく 方法を学ぶことを目的とした。そのためには,半導体の作製に用いられるフォトリソグラフィーという手法を用いて 作られた微細な鋳型のパターン上で神経細胞の培養を行う。このような実習を通して,「なぜこの方法が必要なのか, この方法のどの点が優れているのか,どのような解析方法を用いて新しい事実を発見していくのか」といった問題解 決方法を学ばせる。そしてこのような実験が神経変性疾患の原因の究明や,医薬品の開発に発展できることを学ぶ。 生物学を学んでいない生徒も多いので,事前学習で,細胞についての基礎的な知識を導入し,再生医療や神経疾患に ついて調べさせ,発表しあう活動を通して,事前に知的好奇心を喚起させ,実習に臨む心構えや態度を養う。そして このような研究には,生物・化学・物理の分野を包括した知識が必要であることや,さまざまな分野に亘った科学技 術がその研究を支えていることを理解させ,科学への興味関心や知的探究心を育成することを狙いとしている。

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各班に一人の大学院生または研究生(以下 T A )についてもらい,3日間同じ T Aのもとで実習を行うことにした。 最初に,細胞の情報伝達や実習の概要について宇理須より講義をした後,実験室に移動して各班に分かれて実習を行っ た。各班4枚のディッシュのうち,もっともきれいにスタンプがつき,神経細胞が最も良く分化しているディッシュ を顕微鏡で比較し,一つを選別する。選んだディッシュの細胞を PB S 溶液で洗浄し,ホルマリンで 5 分固定し,界面 活性剤 T riton. X -100 で 5 分処理して細胞膜を破壊し,さらに PB S で洗浄後,アクチンを染色するローダミン・ファロ イジンを加えて暗所で 30 分処理,次に D NA を染色する D A PI を滴下し,蛍光顕微鏡で蛍光染色された細胞を観察した。 3日間を通して,実験の待ち時間がかなりあったが,その間に T Aの学生と実験内容について詳しく説明を受けたり, 研究についての話を聞いたりして,積極的にコミュニケーションを取ることができた。そして難病の原因究明や治療 法の発見のためにこのような基礎研究が役立ち,さらに様々な分野の技術の連携によって研究が成り立っていること を理解することができた。

生徒たちは全員熱心に実験をし,また,非常に楽しそうであった。このような若者がいてくれるなら,科学技術立 国日本の将来も安心だ。というような感じがした。

4-6-4 あいち科学技術教育推進協議会

スーパーサイエンスハイスクール(S S H)研究指定校,愛知スーパーハイスクール研究校,さらに,サイエンスパー トナーシップ(S P P)実施校である愛知県下の16高校が,2009年度に「あいち科学技術教育推進協議会」を立ち上 げた。これは,文部科学省指定 S S H 中核拠点育成プログラムの一貫として,S S H で得た知識や組織力を活用し,全 県的な取り組みとして理数教育の推進を目指したものである。協議会設立のキックオフイベントとして「科学三昧 i n あいち2009」が2009年12月24日に岡崎コンファレンスセンターにて開催された。当イベントにおいては,協議 会加盟校を含む県内の多数の高校から理科教員や高校生が集まり(参加総数300名以上),科学や技術についての先 進的教育活動の紹介が行われた。分子研からは「酸化物半導体薄膜を利用した光波干渉と光発電」「デスクトップ電 子顕微鏡で観るナノの世界」と題した2つの体験型ブースをワークショップに出展し,高校生をはじめとする来場者 との交流を行った。

4-6-5 国研セミナー

このセミナーは,岡崎3機関と岡崎南ロータリークラブとの交流事業の一つとして行われているもので,岡崎市内 の小・中学校の理科教員を対象として,岡崎3機関の研究教育職員が講師となって1985(昭和60)年12月から始 まり,毎年行われている。

分子科学研究所が担当したものは以下のとおりである。

回 開催日 テーマ 講 師

2 1986.. 1.18 分子研の紹介 諸熊 奎治 教 授

(19)

21 1989.. 6.24 星間分子と水—生命を育む分子環境— 西  信之 助教授 24 1989.10.21 常温での超伝導は実現できるか 那須奎一郎 助教授 27 1990.. 6.23

目で見る結晶の生成と溶解

—計算機による実験(ビデオ)—

大瀧 仁志 教 授

30 1990.10.20 電気と化学 井口 洋夫 所 長

33 1991.. 6.22

自己秩序形成の分子科学

—分子はどのようにしてリズムやパターンを作り出すか—

花崎 一郎 教 授 37 1991.12.14 からだと酸素,そしてエネルギー:その分子科学 北川 禎三 教 授 39 1992.. 7.. 7 サッカーボール分子の世界 加藤 立久 助教授 42 1992.11.13 炭酸ガスの化学的な利用法 田中 晃二 教 授 45 1993.. 6.22 化学反応はどのように進むか? 正畠 宏祐 助教授 48 1993.10.. 1 宇宙にひろがる分子の世界 齋藤 修二 教 授

51 1994.. 6.21 分子の動き 伊藤 光男 所 長

54 1995.. 6.20 生体内で活躍する鉄イオン—国境なき科学の世界— 渡辺 芳人 教 授 57 1996.. 6.28 分子を積み上げて超伝導体を作る話 小林 速男 教 授

60 1997.. 6.13 生体系と水の分子科学 平田 文男 教 授

63 1998.. 6.12

電子シンクロトロン放射光による半導体の超微細加工

—ナノプロセスとナノ化学—(UV S OR 見学)

宇理須恆雄 教 授 66 1999.. 6.. 8 レーザー光で,何が見える? 何ができる? 猿倉 信彦 助教授 69 2000.. 6.. 6 マイクロチップレーザーの可能性 平等 拓範 助教授 72 2001.. 6.. 5 ナノメートルの世界を創る・視る 夛田 博一 助教授 75 2002.. 6.. 4 クラスターの科学—原子・分子集団が織りなす機能— 佃  達哉 助教授 78 2003.. 6.24 科学のフロンティア—ナノサイエンスで何ができるか? 小川 琢治 教 授 81 2004.. 6.22 生命をささえる分子の世界—金属酵素のしくみを探る 藤井  浩 助教授 84 2005.. 6.28 環境に優しい理想の化学合成 魚住 泰広 教 授 87 2006.. 6.20 電気を流す分子性結晶の話 小林 速男 教 授 90 2007.. 6.15 光で探る生体分子の形と機能 小澤 岳昌 准教授 93 2008.. 6.17 宇宙の光を地上で作る—シンクロトロン光源— 加藤 政博 教 授 96 2009.. 6.. 9 化学結合をいかに教えるか 平本 昌宏 教 授

4-6-6 小中学校での出前授業

岡崎市内の小中学校を対象に,物理・化学・生物・地学に関わる科学実験や観察を通して,科学への興味・関心を 高めることを目的に,岡崎市教育委員会や各小中学校が企画する理科教育に協力している。

分子科学研究所が担当したものは以下のとおりである。 岡崎市教育委員会(出前授業)

対象校 開催日 テーマ 講 師

六ツ美北中東海中 2002...1.25 光学異性体とその活用 魚住 泰広 教 授 東海中 2003...2.18 計算機を使って分子を見る 谷村 吉隆 助教授

常磐南小 2005...2...7 光の不思議 岡本 裕巳 教 授

(20)

東海中 2006...2...8 モルフォ蝶とナノ化粧品の秘密 小川 琢治 教 授 美川中 2007...2.26 生物から学ぶ光と色 小澤 岳昌 助教授

矢作西小 2007.12...4 原子の世界 櫻井 英博 准教授

六ツ美北部小 2008.10.10 ミクロの世界の不思議 平本 昌宏 教 授

矢作中 2009.12...4 分子と光の秘密 平本 昌宏 教 授

岡崎市立小豆坂小学校(親子おもしろ科学教室)

回 開催日 テーマ 講 師

1 1996.12..5 極低温の世界(液体窒素) 加藤 清則 技官 3 1997.12..4 いろいろな光(紫外線,赤外線,レーザー光) 大竹 秀幸 助手

17 2004.11.30 波と粒の話 大森 賢治 教授

23 2007.11.27 .身の回りにも不思議はいっぱい 青野 重利 教授

4-6-7 職場体験学習

岡崎市内及び近隣の中学校及び高等学校の要請により,職職場体験学習として中・高生の受け入れに協力している。

年度 受入件数 参加者数 見学受入機関名

2007 5 10

岡 崎 市 立 甲 山 中 学 校, 愛 知 県 立 豊 田 西 高 等 学 校, 岡 崎 市 立 竜 海 中 学 校, 豊 橋 市 立 中 部 中 学 校, 岡 崎 市 立 竜 南 中学校

2008 4 12

岡 崎 市 立 甲 山 中 学 校, 豊 川 市 立 音 羽 中 学 校, 岡 崎 市 立 六ツ美中学校,岡崎市立竜南中学校

2009 4 8

岡 崎 市 立 甲 山 中 学 校, 豊 川 市 立 音 羽 中 学 校, 岡 崎 市 立 東海中学校,岡崎市立竜南中学校

(2009 年度の数値は,2010 年 2 月末現在)

4-6-8 その他

(1) おかざき寺子屋教室

(社)岡崎青年会議所との共催で岡崎市内の小学校高学年を対象に,岡崎3機関の研究者が講義・実験を行い,学 校では普段体験できないことを体験してもらい,小学生に科学に対しての夢や憧れを持ってもらうために実施するも のである。1995年より年1回行われ,岡崎3機関の研究所が順に担当していたが,(社)岡崎青年会議所の都合で, 2006年度をもって終了した。

分子科学研究所が担当したものは以下のとおりである。

(21)

2002.10.19(土) 14:00-16:30

分子科学研究所 魚住 泰広 教 授 僕も私も名探偵

11

2005..5.29(日) 14:00-16:30

山手3号館大会議室 宇理須恆雄 教 授

アトム誕生

—ナノテクノロジーの世界— 備 考

参加者:小学校5〜6年生 40〜50名程度

(2) 中学校理科副教材の作成

岡崎市・岡崎市教育委員会・理科教育振興協会の要請により,市内の中学生に,岡崎3機関の研究内容を知らせる ことで,生徒の自然科学に対する興味,関心を高めることを目的とした,理科副教材の作成に協力している。一般公 開を行った研究所が,翌年に協力し作成することが慣例になっている。作成にあたっては,各項目ごとに市内中学校 の理科担当教諭及び中学生徒2名程度が,分子科学研究所の担当教官を訪問して,インタビューを行い,両者が協力 して,資料を作成する。

中学校理科副教材(冊子)

「分子のしくみ」 1998年9月発行

中学校理科副教材(パネル)

「分子で見る物質の世界」,「光で分子を見る」,「鏡に映った形の分子(光学異性体)」,

「ナノサイエンス 10億分の1の世界」 2001年10月作成

(3) 岡崎市小中学校理科作品展

岡崎市教育委員会の要請により,岡崎市小中学校理科作品展に岡崎にある3研究所が輪番(原則として3年に1回) で体験型のブースを出展している。分子科学研究所は2007年に担当し,パネル展示のほか,子どもたち自らが色素 増感太陽電池の作製や酸化チタンカラフル塗装を体験できるブースを出展した。また,2009年は一般公開の宣伝と 未来の科学者賞の案内を行った。

(22)

4-7 一般公開

岡崎三研究所は毎年回り持ちで研究所の一般公開を行っている。平成21年度は分子科学研究所一般公開を10月 17日(土)に開催した。5月26日に第一回実行委員会を開催し岡崎市や市内中高等学校の行事を勘案しながら開催 日を決定した。また,教員,技術職員,事務職員からなる,公開展示班(8名),講演会班(4名),広報班(5名), 記録班(3名),設営班(3名),総務班(4名)を組織した。その他,実験棟が耐震工事を行っていることから,例 年と異なり実験棟に代わって岡崎コンファレンスセンターを使用することなどを決定した。8月6日の第二回実行委 員会では,会場を明大寺キャンパスの極端紫外光施設,岡崎コンファレンスセンター,山手キャンパス2号館に設定し, 東岡崎南口から巡回バスを走らせることを決定した。また,展示に関しては,小学生でも楽しめるものと科学に関心 の高い大人でも満足できるものの二つのタイプのものを用意することとした。このほか,講演会の講師2名の候補者 を決定した。10月2日に第三回実行委員会を開催し,展示の概要説明,配布物の点検,会場設営のための工程表の 確認,役割分担の確認を行った。

今回は実験棟改修工事と重なり,十分なスペースが取れなかったために,前回行った中学生のための科学実験の指 導(サイエンスレンジャー)は行わなかったが,体験型展示でこれに対応した。今回の新しい試みとして,岡崎コンファ レンスセンターの中庭を利用したフードコート(岡崎の物産店)を企画し,3店の協力を得た。一般公開の標語を「分 子の森を探検しよう!」とし,ポスターを約 700 の大学,公的機関,小中学校に配布した。また,折り込みチラシを 約5万世帯に配布,回覧板を三島学区 3881 世帯に回覧,岡崎市の広報紙(岡崎市政だより)と岡崎三研究所の広報 誌(「OK A Z A K I」33 号)に記事を掲載するなど広報に努めた。このほか,ラジオ(F M おかざき)でも一般公開の前 日(16日)の朝夕 10 分間放送し,10月5日には 30 分程度の記者発表を行った。事後のアンケート調査によると, 情報源は友人・知人との口コミが最も多く,次が折り込みチラシ,岡崎市政だよりと続いていた。今年はインフルエ ンザの蔓延が懸念されていたが,幸い大きな流行には至らず,予定通り開催することができた。

一般公開日当日は曇天で風も強く肌寒い天気であったが,会場には 9 時 30 分の開始時間前から見学者が訪れたため, 急遽開始時間を早めて対応した。展示数としては明大寺キャンパス(極端紫外光施設)が2件,岡崎コンファレンス センターが25件,山手キャンパスが12件であり,内容としては非体験型展示が16件,体験型展示が23件と多数 の体験型展示が実施された。体験型・非体験型ともに好評で,5段階評価のアンケート結果では 3.7 から 4.4 の間に 分布していた。

14 時 20 分より岡崎コンファレンスセンター中会議室で「どこへ行く? 日本のサイエンス」という主題の一般公 開シンポジウムを実施した。演題は中村宏樹分子研所長の「頑張れ日本人の若人—サイエンスを超えて“ 科学” へ の挑戦を!」と辻村竜哉共同通信編集委員兼論説委員の「50年でノーベル賞30人の野望はどうなる?」であり,16 時頃盛況のうちに終了した。このシンポジウムに先立って,岡崎市小中学生の理科自由研究に対する「未来の科学者賞」 の授賞式が行われた。これは岡崎三研究所の基生研,生理研と共同で行っているアウトリーチ活動の一つである。一 般公開に先立って岡崎市総合体育館で行われた研究発表の中から岡崎三研究所の広報関係教員が選考した10件の研

参照

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